Credit Default Swap - クレジット・デフォルト・スワップ - つまりCDS。CDSは金融派生商品の一種で、「債券自体を移転する事なく信用リスクのみを移転する」とウィキには書かれています。
Credit Default Swap - クレジット・デフォルト・スワップ:http://ja.wikipedia.org/wiki/クレジット・デフォルト・スワップ
ウィキの解説ですぐに分かった人は、金融関係者ぐらいでは?
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を物凄く砕いて説明するには、生命保険と比べて考えれば、取りあえず大まかなで基本的な仕組みと、そして問題点が分かるのでは?と思いました。では再び「Inside Job」のお知恵を借りつつ、生命保険の仕組みと比較しながら、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)にアプローチしてみたいと思います。
まず、証券では、、、。見掛けの利回りは良さそうに見える証券のカクテル、つまりCDO(債務保証証券)も、ある意味、眉唾ものです。「Investors(投資家)」はイザという時に大金を失いたくないので、そのための保険を掛ける事にします。そのための多少の出費には目を瞑ってもいい、、、という事です。それだけ、上手くいけばお金が儲かるCDO(債務保証証券)ですが、下手をすると破滅ですから。「天国と地獄」、、、それがCDO(債務保証証券)。
これは貴方を生命保険を掛けられる 証券だと思えば、比較的理解しやすいでしょう。貴方はお家の大黒柱(=給料運搬人)。貴方がいないと家族は(精神的にはともかく?)経済的に困る。でも、家から一歩出れば何が起こるか分からない。突然車が突っ込んでくる? 健康に自信があっても突如襲う心臓発作? そう、貴方の人生も眉唾もの。だから家族などを受取人にした生命保険を掛けますよね、、、。
つまり、証券を持っている人(=貴方や貴方の家族)が証券(=貴方)に保険を掛けたくなるのは、分かりますよね、、、。債券のデフォルト(貴方の不慮の死)があった時の最低限の備えのため、、、です。
証券ではこの証券版・生命保険もどきを「プロテクション」と言います。そして「プロテクション」を買う事でリスクを移転する訳です。「プロテクション」を売ってくれる証券版・生命保険会社は「プロテクション」の買い手から保険料を貰います。、、、と言う事は、当然、債券がデフォルトした時は、この証券版・生命保険会社は契約した分のデフォルト保険金を払う事になる訳です。そしてこの契約がCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の一番単純な契約形態でしょう。
つまり貴方の不慮の死に対する死亡給付金のようなものです。ここまでなら、証券に生命保険なんて、、、という人もいるでしょうが、リスクに対する保証という事で、それほど不思議では無いかもしれません。
ところがこの辺りの金融商品には規制が殆どないのが現状で、この「プロテクション」近辺でおかしな(?)取引や商品が発生しますが、なかなか違法とはなりません。ただ、サイコパスで強欲、今日の事しか考えていない金融版・「コーポレーション」氏のやる事です。何かきな臭い匂いが、、、、。
「Inside Job」で登場した証券版・生命保険会社はAIGでした。アメリカ最大の(そして破綻しかけて実質国有化された?)保険会社です。(因に本当の人間に掛ける生命保険とか医療保険も扱っている会社です。)

上のように、「Investors(投資家)」が保険料を払って「プロテクション」を購入しています。AIGは「よっしゃ、イザとなったら、ワシが面倒を見るで~!」と言って意気揚々、、、だったのです。株も上がり、不動産の値段も上がり、、、と、CDO(債務保証証券)の運用が上手く言っている間は、大きな事を言っていられました。証券版・死亡給付金、払わなくてもいいですからね、、、。保険料だけ貰ってホクホク、、、。
しかし、AIGも泣く子も黙る「コーポレーション」一族の一人(?)。もっとも儲けたい、、、と思うのはDNAです。このCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の辺りの金融派生商品にはまだまだ規制がないと言っていい。ここは上手くやって、もっと儲けたい。(←止めときゃいいのに、、、。)
そこでAIGは「Investors(投資家)」が持っているCDO(債務保証証券)を他の人達、ここでは「Speculators(投機家)」と呼びますが、その赤の他人の「Speculators(投機家)」が、実際は持っていないはずのCDO(債務保証証券)を持っている事にしてしまいます。持っていなくてもいいんです。持っていると思えばいいのです。そして「Speculators(投機家)」にもCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)に参加して保険料を払ってもらうのです。
「は?」と思われた方。貴方は正常な頭の持ち主です。いえ、正常というより平凡な、、、と言った方が良いかもしれません。持っていない物を持っていると言う。こんな馬鹿げた事を考え出したのは、物理学や数学のエリート達なのですから。冷戦が終わった後、アメリカ防衛産業から吐き出された彼らは、仕事場を金融界に移し、「金融工学」という一大分野を築き上げました。英語で言う「Financial Engneering(ファイナンシャル・エンジニアリング)」です。エンジニアリングですから、何か物作りでもしている気になって、、、でも、材料が金融商品なので、触れない。あるとすれば紙に書いた証券のリストと、それぞれの証券をどう組み立てるかの方程式くらいでしょうか、、、。
実際に有るとか無いとかは、問題ではないのです。無くても「有る」と言えば有る事になるのです。成る程、数学の世界には「虚数」なんてありますからね、、、。「虚」もある事に出来る。それで上手く行っている世界も有りますし、、、(虚数はレーダーに使われるのだそうですが、私には分かりません。凡人ですので。)でも、金融ですし、人様のお金が掛かっている事ですから、いいんですかね、、、。違法ではないと言って、手品のような事をしていて、、、。
人間の生命保険に当てはめてみれば、コレではまるで全く会った事の無い赤の他人が貴方を被保険者とし、自分を(赤の他人であるにも関わらず)保険金受取人にして、生命保険契約を結ぶようなモノです。しかも何人もが、、、。貴方の死があっても、全く経済的損失が無い沢山の第三者が、保険料というコストを払ってまで、貴方に生命保険を掛ける、、、。これでは火曜サスペンス劇場になってしまいそうな、、、(←まだやっている?)。
こうなると、元々のCDO(債務保証証券)を本当に持っている「Investors(投資家)」と架空のCDO(債務保証証券)を持っている事にされた「Speculators(投機家)」から保険料が入ってくる訳で、AIGはぼろ儲けになります。、、、うまく行っているいる間は、、、ですが。

一つの問題は、この「プロテクション」の売り手に対し、イザというときのための補償金の元手となる物を現物で、つまり現金などでですが、持っておけ!、、、などの規制がないので、「プロテクション」の売り手が、この場合AIGですが、その折々払い込まれる保険料から出る利益を貯めておく事もせず、さっさと株主への配当金や従業員、そして経営者のボーナスとして吐き出してしまう事です。このレベルのアメリカ企業の経営者のボーナスは4,500億円はざら。年収では1000億円レベル。
ですが、CDO(債務保証証券)の運用が上手く行かなくなり、元本価格を切って償還とあいなったら、、、つまり、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)契約に従って損害を補償しなくてはならなくなった時、「プロテクション」を実行しなくてはならなくなった時、「プロテクション」の売り手にその元手が無ければどうなるでしょう?
一瞬、血が引きませんでしたか? も、もしかして、、、と。
上手く行っているときは左右からお金が入って来ていたAIGは、本当にCDO(債務保証証券)を持っている「Investors(投資家)」の損害みならず、本当は持っていない「Speculators(投機家)」の無いはずの損害もカバーしなくてはなりません。そして左右からお金が引き抜かれて行きます。でも、支払いが必要な時に使おうとして取っておいたお金は、、、なかった。「コーポレーション」氏の細胞達は、儲かったら直ぐに仲間で山分けしてましたから、「プロテクション」として払い戻すお金は無かったのです。ま、リーマンブラザースも似たようなもんでした。

無い袖は触れない。世界共通の摂理(?)。普通ならここでAIGは破産、「Investors(投資家)」も「Speculators(投機家)」も損を被ります。
ところがAIGは「コーポレーション」一族の大物なのです。責任転嫁の天才であることは言うまでも有りません。それが「コーポレーション」一族のDNA。政府の規制など糞食らえ!という哲学で動く「コーポレーション」一族は、しかし、旗色が悪くなると、途端、政府、そしてその政府の資金を支える納税者へ勘定書を回します。リーマンブラザーズとは対照的に、AIGはアメリカ政府の支援(=庶民が払った税金)を勝ち取る事にまんまと成功。しかも全ては規制の無い金融界の暗黒でなされたのですから、全てが合法取引となり、巨額の損失をもたらした経営者責任は法的には追求が難しく、実際、オバマ政権はリーマンブラザースにせよAIGにせよ、経営責任のあった経営者への刑事責任の告発は出来ずにいます。
こうなると「Speculators(投機家)」も決して罪が無いとは言えません。ここでいう「Speculators(投機家)」とは私利私欲の塊にして巨額の資金を操る個人資産家やファンド会社である事が大半です。彼らが何故証券版・生命保険の保険料を払い、持っていない証券の「プロテクション」を買おうとするかと言えば、彼らは「丁」か「半」か、、、じゃない、、、「デフォルト」か「デフォルトしないか」という、博打をしているのです。そして彼らは「デフォルト」に賭けていた訳です。
しかもただ賭けるだけなら可愛いかもしれませんが、「Speculators(投機家)」も「コーポレーション」一族の一員。根性が並じゃ有りません。予算の許す範囲で、利益の一致する他の「Speculators(投機家)」と共同し、自分たちが関わっている特定のCDO(債務保証証券)を元本割れにするべく、そのCDO(債務保証証券)の空売り(持っていない証券を売る事)等を行うかもしれません。また、「プロテクション」を買った本当のCDO(債務保証証券)を持っている「Investors (投資家)」は、もともと元本割れしても損をしないために「プロテクション」を購入した訳ですから、このSpeculators(投機家)」達の陰謀に乗ってもいいわけです。損は無いかもしれません。契約内容ややり方によっては大もうけも可能です。
火曜サスペンス劇場的に考えれば、赤の他人に生命保険を掛けられた貴方が、保険契約を実行させるべく、命を狙われる、、、という訳です。勿論、普通の生命保険の契約では、全くの赤の他人で、しかも全く経済的関係がない人物が死亡保険給付金の受取人になるなど、保険会社の審査の時点で疑問が持たれてしまいます。しかし、証券版・生命保険ではそういう事は無いようです。つまり、やりたい放題(=殺し放題?)。
と、いうわけで、AIGがCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を付けたCDO(債務保証証券)に対して、逆ばりをして儲けた人々もいた訳です。勿論、それはAIGが「プロテクション」を実行出来る資金をどこかからひねり出してくれると踏んでいたから行ったのです。もうこうなると、「金融版・仁義無き戦い」です。そして実際、AIGは自分たちの赤字分の穴埋めを、アメリカの納税者にさせる事に成功しました。
AIGとリーマンブラザースの運命を分けたのは、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の契約量だった、、、と言われています。AIGの契約料はリーマンブラザースより大きくかったので、その波及効果が恐れられた、、、と言われています。また、こういう世界の「Investors(投資家)」や「Speculators(投機家)」には当然政府高官がいます。彼らの年金計画への影響が大きいと考えられたのかもしれません。また、破綻の連鎖はリーマンブラザースから始まりましたので、リーマンは最初に貧乏くじを引かされた、、、という事も。結果、リーマンブラザースは潰れましたが、その影響をみたアメリカ政府は次のAIGは潰せなかった。リーマンショックの落ち込みを悪化させたくなかったアメリカ政府は、AIGにアメリカ国民の税金をつぎ込み、国債を増発し、救済をしたのです。
失敗しても責任は取らない。サイコな不老不死。それは「コーポレーション」。
これではリーマンショックで路頭に迷うアメリカ国民に、AIGからの請求書アメリカ政府経由で送られたようなものです。AIGはアメリカ国内のギリシャか、日本にタカル韓国だったのか? 1000億円の年収を上げる人達のドジの始末を、家を取り上げられた人達に、失業した人達に、給料が減った人達に、病気で高額の医療費が払えない人達に、押し付けた、、、と言っても良いでしょう。
そして「♪それでいいのだ~」と歌うのが「コーポレーション」氏なのです。それがアメリカの「公正」であり「自由」であり「素晴らしさ」なのです。そしてそれをFTAやTPPなどで全世界に広げ、自分は儲け、失敗も損も他人に押し付ける自由を謳歌しよう、、、というのが「コーポレーション」氏の唱えるアメリカンドリームなのです。
OWSデモの人達を「負け犬」のデモと言う事も出来ます。でも、「コーポレーション」氏の「欲」という名のゲームでは、勝者は一握りしか出ないようになっています。(この一握りの人々を、最近では「ダボス階級」と言うようです。)そういうゲームの方が、掛け金を山分けする人数が減って、一人一人の分け前が増えます。だから、勝つのは少数で無ければなりません。しかも「コーポレーション」氏は失敗しても、その責任は取らなくてもいいのです。責任を取る事は「負け犬」のする事なのです。責任を取らない事が「勝者」なのです。
CDO(債務保証証券)、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)、空売り、そしてレバレッジという、架空経済を形成する「打出の小槌」は、上手く言っているときは(架空の意味で)儲けが大きく、会計の上ではとても成功している様に見えます。安全と危険を混ぜこぜ、無い物を有ると言い、持っていなくても買い/売りつけて儲け、その金は10倍、20倍、と帳簿上は考える仕組み、、、。基本的に持っている資産の何倍もの金額の借金が出来る訳で、収入や既に保持している資産を基準に、それを上回る借金など出来ない一般個人からすると正に眉唾ものの金融取引が成り立っています。
しかしアメリカのサブプライムローンの破綻が示す通り、架空経済はある時点で現物決済する事が必要になり、それを行うために架空の値段で現物を取引してくれる相手がいなくなった時、破綻します。これは一人勝ちのゲームのようなモノですから、どんどん勝つ人間が減って行きます。そしていつか取引相手はいなくなるんです。その時の損害は架空に膨らませた分、巨額であり、AIGのような大抵の国家より経済的には大きな巨大企業でも、自分では始末が出来ないののです。
そして問題は、順風漫歩の時は国家の規制を嫌い、自分たちの行動を規制する法律を作らせない様にしてきた「コーポレーション」氏は、しかし上手く行かなくなった途端、最後は国家に頼る事。そして、それをアメリカという、自由主義経済を旗印に民間企業の自立を過ぎる程協調して来た国家が、あっけなく(?)許してしまった、、、という事でしょう。これでは「コーポレーション」氏はアメリカ国民の富を喰っているのと同じです。
そしてアメリカの金融界の大ドジは、アメリカ全体、引いてはアメリカを市場として当てにしていた新興国の経済にまで影響します。
金融界がコケれば、全産業へ、そして全世界へ、その影響が波及する、、、そういう経済を作ってしまったのです。しかもその基盤は架空の資産や金。その架空経済を止めるには、「コーポレーション」氏の本性である「必要以上にもっと儲けたい」という精神を押さえる何かが必要です。以前はそれが金融規制でした。1929年の世界大恐慌を教訓に整えられた金融規制は、しかし「コーポレーション」氏の台頭と共に緩和され、それにつれ「コーポレーション」氏の政治的影響力も大きくなり、現在、以前のような規制された金融界にアメリカが戻れるとは思えません。しかし、今の利益にのみに固執する現在の金融システムは、しかも最後は納税者に尻拭いさせるというやり方は、長期的には国家を食いつくすシステムなのです。でも、今の利益を目にすると、止められない、、、。いつか破綻すると知っていても、自分だけはババを引かないと思ってやってしまう。
そう、アメリカは欲に乗っ取られた国なのです。
(次のシリーズエントリー回に続く)


by tna6310147
不法就労猫、発見?